母になったら読もう、と決めて産前から大切に本棚にしまっていた3冊の本。息子が生後5か月となった現在までに読み終えました。いずれも育児のノウハウ本ではなく、小説やエッセイにあたるものです。「親になる」という大きな変化を、じんわりと、心で感じられたのでおすすめしたく、ご紹介します。
【別テーマ】「眠る前に読みたい3冊の本」はこちら📖
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『センス・オブ・ワンダー』
生き物を迎え入れる地球、生命の尊さ
著 レイチェル・カーソン
訳 森田真生
絵 西村ツチカ
『センス・オブ・ワンダー』は、『沈黙の春』の著者として広く知られるレイチェル・カーソンが書いた、未完の1冊。こちらの本では、京都を拠点に執筆や研究活動を行なわれている森田真生さんによって、新訳とその「つづき」が書き継がれています。
カーソンが甥のロジャーと自然の中へ出かける描写が好きで、何度も読み直しています。
幼いロジャーに敬意を持ち、同じ視線で自然を見つめる姿勢は彼女の心の広さと、清らかさをよく感じ取れます。
いつのまにか忘れてしまった、幼少期の素直な好奇心。森田さんの「つづき」では、2人の息子さんとの時間を通して感じた自然への敬意や生命の神秘が静かに語られます。
この本を読みながら片腕に眠る息子の顔を見たら、何度かすーっと涙が出ました。
ここ（地球）で生きることの尊さ、生命を歓迎する地球。子育てに直結するノウハウよりも、ずっと心に深く残る気づきがありました。
西村さんの挿絵もとても素敵です。ぜひ読んでみてください。
『海からの贈物』
時空を超えて私に届いた「女」のリアル
著 アン・モロウ・リンドバーグ
訳 吉田健一
アン・モロウ・リンドバーグは、アメリカの飛行家であるチャールズ・オーガスタス・リンドバーグの妻として知られており、自身も飛行家として活躍した女性です。
『海からの贈物』はそんな彼女の功績には触れません。
育児や家事に追われる、1人の女性としての苦悩や幸せなどが淡々と書かれています。
浜辺で見つけた「貝」を題材として各章が構成されている面白い1冊です。貝と育児にいったい何の関係が？と思いますよね。
こちらは60年ほど前に出版された本ですが、母という役割と自己実現の両立に悩む方、人生の幸せを見つめ直したい方はきっと引き込まれるはずです。
『子どもとの関係が変わる 自分の親に読んでほしかった本』
子に与えること、受け継がないことの覚悟
著 フィリッパ・ペリー
訳 高山 真由美
フィリッパ・ペリーはイギリスの心理療法士で、こちらの本は46ヶ国で販売されいるベストセラー作品です。
子どもから見ると、大人って何でも頼れる存在な気がします。
でも実際は、大人全員が何の問題もなく完璧な子育てができる「親」になれるわけではない。
子どもの言動にイライラしてしたり、喧嘩になったり。
どれも一時の感情と思いがちですが、背景に自身の幼少期の生い立ちが関係していると著者は言います。
忘れかけていた自分の過去を探る、ちょっとドキドキする本です。
テーマごとにひとつのワークが設置されているので、ノート片手に読むのもおすすめです。
具体的な解決策ではなく、子供との日々の向き合い人、子育てを楽しくしていきたいと考えている人にぴったりだと思います。
【まとめ】過去にも今にもとらわれず、変化を受け入れる。
息子をベビーカーにのせて外出すると、結構な頻度で街の人が声をかけてくれます。
かわいいねえ、ちいさいねえ
お母さん無理せずね、がんばってね
見せてくれてありがとうね
私も、ありがとうございます、お気をつけて、などと返します。
…
ごく普通の賃貸マンションに住む30代の会社員であった私。
ご近所付き合いはなく、街中で声をかける・かけられるような経験もなかったので最初は戸惑いました。
でも、本当に嬉しいのです。
挨拶をして別れた後にしばらく笑顔が続くような、温かい出来事です。
嬉しくて、今日はこんな人に会えたよ、と夫に報告するのも日々の楽しみのひとつになっています。
いつしか思いこんでいた「他人＝関わらない存在」という考えが、どんどん変化していくのを感じます。
…
親になるって、たぶんこういうことなのかもなと思います。
過去にも今にもとらわれず、変化を受け入れる。
次第に、年齢や性別を問わず相手の状況や心に寄り添えるようになる。
今回ご紹介した3冊は、こうした自分の成長をより促してくれるような良質な本でした。
具体的な育児ノウハウやおすすめの方法ではなく、もっと根本にある「親」「育児」、そして生き方を考えたい方にとてもおすすめしたいです！
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